祖父の家の塗り替えが決まった。
塗り替えを決めたのは父親の兄弟、つまり、祖父の子供たちだ。
祖父の家と言ったが、祖父はもう居ない、住んでいるのは祖母だけ。
祖父母揃って健在の時から、祖父母が住む家のことを私は「お爺ちゃんの家」と呼んでいる、お婆ちゃんも居るのに。
私、「お婆ちゃんは家の塗り替えに賛成なの?」
母親、「どうだろ?」
母親がそう答えるのは、祖母は祖父の思い出が詰まった家に愛着があることを知っているから。
父親、「塗り替えをしないと、雨風で家が傷むんだよ」
私、「それは分かるけどさ・・・」
雨風で傷むウンヌンではなく、家の塗り替えにより、祖父の思い出までが塗り替えられるのではと懸念をしているのだ。
祖父の家は、祖父が建てた。
実際に家を建てたのは大工さんだが、祖父母が頑張って働いて住宅ローンを支払った。
家を建てる苦労を祖父母から何度も聞かされた私達家族が住むのは、賃貸マンション。
賃貸マンションだと、マンションの塗り替えに何とも思わない。
分譲マンションに住んでいる友達に、マンションの塗り替えについて聞いてみると、「興味がない」と言っていた。
その友達は、祖父母とも健在。
父親、「今度の休み、爺ちゃんの家に行くぞ」
私の父親は、自分の父親のことを爺ちゃんと言う、父親の兄弟も自分の父親のことを爺ちゃんと言う。
母親、「家の塗り替え前に行くの?どうせ、家の塗り替えが終わってからも行くんでしょ?だったら、塗り替えが終わってからだけで良いじゃない」
先ほどまでの母親は、祖父の思い出が塗り替えられる家の塗り替えに懸念を示していたのだが、祖父の家に行くとなると御土産を持って行かなくてはならないため、金銭的なことが絡んで来ると急に考えがドライになる。
結局、家の塗り替え前と後の2回、祖父の家を訪れたのだが、母親の機嫌は悪くならなかった。なぜなら、祖母から祖父の形見のアクセサリー(貴金属)をもらったから。

外壁塗装 北区