“天気が良いため、私・妻・娘の3人で家の近くを散歩した。
娘、「お父さん、頭は熱くない?」
私、「熱くないよ」
妻、「日射病になるから帽子を被ったら」
私、「被らない」
娘、「被らないなら、帽子を持って来なければ良いのに」
妻と娘は私の健康を気遣ってくれているのではない、髪が薄い私をディスっているだけ。
帽子を被ったら頭が蒸れて髪は抜けてしまう、帽子をわざわざ持って来たのは、万が一、知り合いに会った時のため。
裏山に登ると見晴らしが良く、私の家も良く見える。
妻、「うちも、そろそろ塗装をしないといけないね」
私、「まだ良いよ」
娘、「ダメよ、うちの屋根だけじゃない、塗装が剥げているのは」
剥げというキーワードに私は敏感、敏感に反応した私に敏感なのが妻と娘。
娘、「前回塗装をしたのはいつ?」
妻、「貴方が高校に入った時でしょ、覚えてないの?」
娘、「全然覚えてない」
私も妻も前回塗装をしたのは、娘が高校に入った時であることをハッキリ覚えている、なぜなら、娘の高校入学費用と塗装費用を捻出するのに苦労したから。
妻、「今回の塗装に掛かるお金は、貴方も出してよ」
娘、「どうして私がお金を出すの?結婚したら私はこの家を出て行くのよ」
妻、「少しくらい親孝行をしなさい。親孝行したいときに親はなしって言うでしょ」
娘、「えー」
家に帰ってアルバムを見ると、塗装したばかりの家の前で、制服姿の娘がニッコリ笑っていた。
ニッコリ笑う娘の横には私が映っており、どうやら、その写真を撮ったのは妻。
昔の私が映る写真を見て妻と娘は笑った、2人が笑うのは無理もない、10年前の私は髪がフサフサしていたのだから。
妻、「この10年で何があったの?(笑う)」
娘、「・・・(笑)・・・」
この10年で特別、何かがあったわけではない、普通に暮らしていただけ。
普通に暮らしていただけでもハゲるのは屋根の塗装も同じ、何もせず放っておいたら、妻と娘からは「貴方が禿げているから屋根も剥げるのよ」と言われてしまう。
知人には私と同じで髪の薄い者はいるが、笑い者にされたくないのか、家の塗装はしっかり行われている。”
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